ちょっとした後日談

プロローグ


 高層ビルの屋上に、少女が一人座り、イルミネーションに輝く街を眺めている。
 片目の少女。
 潰れた方は、長い前髪で隠している。

少女「私ってさ、なんで、こんな下らないことをやっているんだろう。いつも、いつもさ…」
少女「嫌い。世の中嫌い。みんな死んじまえ。ワルプルギスの夜が来たときに、滅んじゃえばよかったのさ」
少女「なのに、私が、やっているのは人助け。なんだろうね」

 噛んでいたガムを、ぷぅーっと大きく膨らませる。
 空に、シャンシャンとした音が聞こえてきた。

少女「ん?」

 飛んでいるものを見て、少女のガムがバァンと破裂した。





ほむら


 夜の街。一年で最高に賑やかな日。

まどか「うわぁ…」

 まどかは空を見上げる。
 雪が、さらさらと降っていた。
 それは手に触れると、静かに消える、ほんの小さな粉雪。

まどか「ホワイトクリスマスだね」

ほむら「うん」

 まどかが吐く息が白い。そして私の吐く息も白い。
 同じマフラー、同じ手袋。お互いに作って、お互いにプレゼントをした。
 作りはぎこちなかったけど、それでも私たちにとって大切なもの。

 しかし、まどかと一緒とはいえ…。

ほむら「…帰りたい」

まどか「だーめ」

 さすがクリスマスイブ。
 イルミネーションで美しい光景とはいえ、足の踏み場もないほど人だらけ。

まどか「サンタさん、いっぱいいるね。一緒に写真撮ってもらおうか?」

ほむら「中身はただの人よ、しかもアルバイト」

まどか「いいのいいの。ほむらちゃんとクリスマスを過ごしたって、記念写真なんだから」
まどか「すみませーん、写真、入ってくれませんかー?」

 二メートルはある大きなサンタクロースに声をかけていた。

サンタクロース「………」

 私たちをギロリと見る。赤い目が不気味だった。

ほむら「す、すみません。えっと、迷惑なら、いいです」

 私が慌てて謝ると、サンタは顔を戻し、無言で行ってしまった。

まどか「うわ、ちょっと、怖かったかな」

ほむら「まどか。相手をちゃんとよく見る」

 なんで、選りに選って、ヤクザのようなサンタに声かけるのよ。

まどか「うーん、サンタさんなら、みんな優しいって思ってたんだけど」

ほむら「…だから、中はただの人」

………。
……。
…。

お姉さん「いきますよー。はい、ちーず」

カシャ。

まどか「てへへ、今度のサンタさんは、ちゃんと撮ってくれたね」

 まどかは、サンタクロースと撮ったデジカメの写真を見て満足げ。

ほむら「ただの、ケーキ売りのアルバイトじゃない」

まどか「それで正解。だって、クリスマスプレゼントに、アメを貰ったもん」

ほむら「まどかの肩に手を置いてたわ」

まどか「ほむらちゃんの肩にだって、手を置いてたじゃない」

ほむら「あれ、セクハラ。許せない」

まどか「そんな下心のない、いいお兄さんだったよ。ほむらちゃん、ヤキモチやかないの」

ほむら「べ、別に、ヤキモチ、やいて…ない」

まどか「良い子、良い子」

ほむら「まどか、頭なでないで…」

 恥ずかしい…。


 時間まで、私たちはショッピングをしたり、クレープを食べたり、ゲームセンターでガンシューティングをしたり、大道芸を見物したりと、賑やかな街を散策する。

まどか「ジングルベール、ジングルベール、雪が降る〜♪」

 歌に合わせて、私と繋がれた手を、振り子のように大きく振っていく。

ほむら「ごきげんね」

まどか「ほむらちゃんとクリスマスデートだもん」

ほむら「いつもデートしている気がするけど」

まどか「クリスマスは特別! 恋人たちの特別な夜なんだよ」

ほむら「私たちって恋人?」

まどか「んーと、親友?」

ほむら「どっちも、しっくりしない気がするわ」

まどか「夫婦とか?」

ほむら「どうかしら。でも、よく、そうからかわれてるものね」

まどか「あはは、さやかちゃんに、この新婚バカップルがーっ! っていっつも突っ込まれてるもんね」

ほむら「さやかだけでなく、マミにも、杏子にも、先生にも、クラスメイトにも…」

 呆れるぐらい仲が良いからと、色々な人に耳にタコができるほど言われちゃってる。

まどか「ママなんて、すでにうちの娘を嫁にやったみたいだって言われたことあるよ」

ほむら「女同士なのに?」

まどか「本気ならば、何も言わない。世間に負けずに、がんばれ、だって」

ほむら「なんなのそれ?」

まどか「うーん、よくわかんない」

ほむら「分からないわね」

まどか「ねー」

ほむら「ねー」

 見合わせて、笑い合う。
 こういうなんてことないやりとりが、楽しくてしかたない。
 私にとって貴重な時間。でも、その貴重な時間が、毎日続いている。

ほむら「ほんと、夢みたい」

まどか「ほむらちゃんは、いつもそれだなぁ」

ほむら「今でもね。これは私が望んでいる夢の世界で、目を覚めたら、まどかのいない現実に戻るんじゃないかって、思うときがあるの」

まどか「ないない。私はいなくならないよ」

ほむら「そう、思ってもね」

 やっぱり実感沸かない。

ほむら「まどかが、私のこと好きでいてくれるのも、お願いの効果かな?と思うときがあるし…」

 まどかの気持ちを疑ってはいない。でも、そんな不安になる私もいる。

まどか「そんなことないよ。私、ほむらちゃんのこと好きだもん」

ほむら「分かっているんだけどね…」

 だめだなぁ、私。ネガティブになってる。

まどか「あれ?」

 急に、まどかの足が止まった。

ほむら「どうしたの?」

まどか「今、キュゥべえが見えた気がするんだ」

ほむら「キュゥべえ?」

 ワルプルギスの夜を倒した後、インキュベーターは別れを付けずに私たちの前から姿を見せなくなった。
 彼(でいいのかしら?)には悪いことをしたので、謝りたかったのだけど、それも出来ずじまい。

まどか「うん。そこの路地に入っていった気がする」
まどか「いってみよう!」

 まどかは、手を引っ張る。

ほむら「ちょっと、まどか、時間がっ!」

 ただでさえ、のんびり過ごしすぎて、遅れているというのに…。



 路地の先は行き止まりだった。
 ビルの壁、ゴミ箱、生ゴミや吐瀉物などの嫌な臭いがあるぐらいで、キュゥべえの姿はない。

まどか「いないなぁ。キュゥべえどこー!」

ほむら「やめよう、まどか。私たちはもう、魔法力ないんだよ。何かあっても、私、まどかを助けられない」

まどか「大丈夫。私がほむらちゃんを、どんな敵からも助けてあげるよ」

ほむら「…もう」

 怖い物知らずなんだから。

ほむら「引き返そう、ね?」

まどか「しょうがないか。キュゥべぇに会いたかったんだけどなぁ、残念」

 まどかが、きびすを返したとき、重い足音がした。
 後ろに人がいる。それも大きな。

まどか「サンタクロース…?」

 サンタクロースの格好をした巨大な男の黒いシルエット。
 先ほど、まどかが声をかけた相手だ。
 目は真っ赤に光らせ、獣のように唸っている。まるで、二本足で立ち上がる熊のようだった。

まどか「あの、どうかしましたか? 私たち、そこ通りたいんだけど…」

 まどかが、立ち塞がっているサンタクロースに、おずおずと声をかける。
 そいつの足が一歩。私たちに向かった。

サンタクロース「〜〜〜〜〜」

 人でない声を発した。

ほむら「まどかっ! こいつは人でないわ!」

まどか「え? え? え?」

 サンタクロースは、きょとんとするまどかに突進する。

ほむら「危ない!」

 まどかを抱きしめ、横に逃げる。私たちは地面に倒れ込んだ。
 スレスレだった。サンタクロースはビルの壁に体当たりする。
 コンクリートがぼろぼろと崩れていった。生身の私たちに当たったらひとたまりもない。

まどか「なにっ、なにが起こっているのっ?」

ほむら「分からない。でも、狙われているのは確か。逃げるよっ!」

 もう、私たちは魔法少女ではない。戦うことは不可能。
 私はまどかの手を取り、逃げようとしたとき…。

少女「はぁ、めんどくせぇ」

 私たちの前に、少女がビルの上から落ちてきた。
 着地。スカートを揺らしていく。
 顔半分を髪で隠し、大きなカマを持つ少女。
 その格好は…。

まどか「魔法少女!」

 …明らかに魔法少女だ。

少女「悪魔は相手したくないんだよなぁ。グリーフシードすくねぇしさ」

 くちゃくちゃと、ガムを噛む音がする。

少女「そこのねえちゃんら、向こうに行ってな。巻き込まれたって、知んねぇよ?」

 私たちに一瞥すらせず、体勢を取り戻したサンタクロースの正面に立つ。

少女「はぁっ!」

 そいつにカマを振った。
 だが、サンタクロースの動きの方が速かった。
 カマを弾いた太い右手が、魔法少女の首を掴む。

少女「がっ!」

 易々と持ち上げられる。

少女「くそったれぇ、てめぇごときに、やられる私じゃねぇんだよ…」

 サンタクロースの周りに、漆黒の闇の円形が広がった。

少女「へっ、勝負は戦場でか、後悔させてやる」

 サンタクロースと魔法少女は、闇と共に消えていった。
 なにもない。しーん、としている。
 壊れた壁と、少女が噛んでいたガムが落ちているだけ。

まどか「あの子、どこ行ったの…?」

QB「悪魔結界だよ」

ほむら「キュゥべえ!」

QB「まどかにほむら。久しぶりだね」

まどか「悪魔結界ってなに? それに、さっきの、魔女じゃなかった。あれはなんなのっ?」

QB「魔女結界と同じさ。さきほどの魔法少女は、結界に連れていかれたんだよ」
QB「悪魔は、力は半減するけど、結界から外に出られてしまうんだ。その代わり、使い魔がいない。一長一短だね」

 さっきの魔法少女は向こうで戦っているということね。無事だといいのだけど。

ほむら「悪魔って?」

QB「新種の敵のことさ」
QB「魔法少女に救いの道を与えた影響で、魔女が激減してしまったんだ」
QB「それにより、感情エネルギー摂取が厳しくなり、魔女以外の新たな敵を創造する必要があった」
QB「そのために生み出されたのが、今の悪魔なんだ」

 知らなかった。
 私たちが平和な日常を楽しんでいる間に、魔女以外の敵が現れていたなんて。

まどか「そんな…そんなのって…」

QB「しょうがないことだよ」
QB「宇宙はそうやって進化を遂げている。エネルギーが減れば、代わりとなるものを作る。これは自然の摂理なんだ」

まどか「ねぇ。キュゥべえ。もし、もしもだよ、ほむらちゃんが、すべての敵を消し去りたいと望んだなら、その通りになったのかな?」

QB「どうだろうね。それには計り知れない力が必要となる。神にならない限りは無理じゃないかな?」
QB「そんな世界にしたところで、これとは違った、新たな敵が生まれていたはずだ。とはいえ、魔法少女の概念が、かなり変わることになるだろう」
QB「それが、キミたちにとっての良い世界なのか、悪い世界なのかは、それこそ神のみぞ知るだよ」
QB「そうそう、暁美ほむらの願いのエネルギーは、ワルプルギスの夜を倒したときに、ぜんぶ使い果たしてしまっている」
QB「今は、なにを望んでも、効果はないよ」

ほむら「よかった。なんでも望み通りになったらどうしようって、心配してたの」

 怖いぐらい、幸せが続いているのだから…。

まどか「だから、心配することないって、ずっと言ってるじゃない」
まどか「私は、ほむらちゃんのこと、心から大好きだよ」

ほむら「うん」

 漆黒の闇が浮かび上がって、さきほどの魔法少女が出てきた。
 倒せたようだ。
 彼女の手にはグリーフシード。私の知るグリーフシードと形が違っていた。

少女「はぁ、めんど。毎日、毎日、私はなにをやってんだか。早いとこ、くたばっちまいたい」

まどか「お仕事、お疲れ様っ」

少女「あんたたち、なんで…?」

 目を丸くしている。

ほむら「私たちは、かつては魔法少女だったの」

まどか「だから、あなたのこと、良く分かるよ」
まどか「この街の平和のために、どれだけ頑張っているか、苦労しているか、泣きたいのを我慢しているか、ぜんぶ」
まどか「それは、私たちが、かつて体験したことだから…」

ほむら「こうして、この街が平和なクリスマスを迎えられるのも、あなたのおかげ」

まどか「いつも、ありがとう」

ほむら「感謝してるわ」

 私たちの純粋な気持ち。

少女「別に、私は、好きでやってんじゃないし、しかたなくだし、ふざけんな」

 照れている。素直じゃなさそうな子だけど、ちょっとは伝わったようだ。

少女「ちっ、だから人間はウゼェ。魔法少女はもっとウゼェ。元とくればさらにウゼェ、ウゼェ、ウゼェ、ウゼェばかり、みんなくたばっちまえ」

 居心地悪くなったようで、早足で去っていく。

まどか「この世界は、とても美しくて、やさしいのっ!」
まどか「きっと救いはある。私たちがそうなったように。だから、希望を捨てずにがんばって!」
まどか「必ず、むくわれる日がやってくるからねっ!」

 遠くなる彼女の背中に、まどかは叫んだ。
 振り向くことも、足を止めることもなかった。魔法少女は、すぐに見えなくなる。

まどか「届いたかな?」

ほむら「きっとね」

 届いてくれたはず。

QB「まどかにほむら、これでお別れだ」

まどか「バイバイ、キュゥべえ。たまには遊びにきてよ」

QB「気が向いたらね」

 気が向くことなんてない。
 今日のは偶然であって、もう二度と会うことはないのかもしれない。

ほむら「キュゥべえ。あなたのこと、疑っていてごめんなさい」
ほむら「あなたは魔法少女にとって、最高のパートナーよ」

QB「暁美ほむらが謝るなんて、今日は雪が降るわけだ」

 そう言い残して、キュゥべえは去っていった。

ほむら「…やっぱり私、キュゥべえのこと、好きになれそうにないわ」

まどか「まぁまぁ、キュゥべえは、私たちのこと助けてくれたんだし」

 まどかは、私の手をそっと握った。

まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」

ほむら「なに、まどか?」

まどか「私たち、魔法少女のために、なにかできないかな?」

ほむら「一緒に戦えないからね。できることは限られているよ」

 何も出来ないわけじゃないだろうけど、人間となった私たちには限度がある。

まどか「そっか、しょうがないよね」

ほむら「さっきの子や、新しく誕生する魔法少女たちを、信じていきましょ」

まどか「うん」
まどか「こうして、私とほむらちゃんが楽しいデートできるのも、魔法少女たちに守られているからだもんね」

ほむら「そうね。平和の代償に、彼女たちは過酷な運命と闘っている」

まどか「私は、毎日、毎日、その子たちに感謝しながら暮らしていくよ」

ほむら「私も…」

 すべての魔法少女の結末が、幸福なものでありますように…。

ほむら「って、まどか、時間!」

まどか「え? あ、そうだった!」

 私たちは市民会館に向かう所だった。
 美樹さやかに招待された、市民オーケストラによる、上条恭介のヴァイオリン演奏会。
 曲目は、サラサーテのカルメン幻想曲。さやかがリクエストした曲だった。

ほむら「クラシックって始まったら、入場できなくなるの!」

まどか「ええっ! それじゃあ、急がなくちゃ!」

 手を握ったまま、私たちは会館を目指して、走り出す。
 この先、どんな未来が待っているのか分からない。
 けれど、私は、まどかの手を離すことは絶対にないだろう。
 ずっとずっと、ふたりで、手を取り合って走っていく。




少女。そしてエピローグ

少女「サンタを倒したんだ、クリスマスなんて、死んじまえ」

まどか『この世界は、とても美しくて、やさしいのっ!』
まどか『きっと救いはある。私たちがそうなったように。だから、希望を捨てずにがんばって!』
まどか『必ず、むくわれる日がやってくるからねっ!』

 あの、元魔法少女って女の言葉がずっと耳に付いている。

少女「別に、報われたかねぇんだ。私は殺されるのが本望なんだよ、ほーもー」

 地べたに倒れ込む。

少女「はぁ、なんか嫌、ぜんぶ嫌、私のソウルジェム破壊しよっかなぁ」

 空を見れば、雪がはらはらと降っている。暫くすれば、体が積もりそうだ。

マミ「こんなところで寝てると、風邪ひくわよ」

少女「うわ、おせっかいババア、来やがった」

マミ「お姉さんよ」

少女「うるせ、巨乳しかとりえないくせに」

マミ「そんなに、私の胸ってうらやましいのかしら?」

杏子「なんで、こっち見るんだよ?」

マミ「好きなくせに」

杏子「んなもん腹の足しになんないじゃん。アタシは、こっちの方が好きだよ」

 コンビニで買った、肉まんをほおばる。

杏子「おーう、少年。肉まん食うかい?」

少女「わたし、女。肉まん、いらね」

杏子「そうか、うめぇのに。マミも食う?」

マミ「クリスマスの料理、食べれなくなるわよ」

杏子「平気だ。マミの食いもんなら、アタシは底なしになるからな」

マミ「あなたも、いきましょ。ご馳走、用意してあるわ」

杏子「ケーキもあるぜ」

少女「いらね」

杏子「拒否権なし。アタシが無理矢理、連れて行ってやる」

少女「なぁ、さっきもだしさ、元魔法少女ってなんでそんなにお節介なわけ?」

マミ「さっき?」

少女「悪魔倒してたとき、会ったんだよ、あやしいぐらい仲良い2人」

杏子「つったら、まどかとほむらしかいないな」

マミ「あの子たちも、新たなる魔界の使者の存在を知ったのね」

杏子「アタシらがやっていること聞いたら、絶対、仲間に加わるぜ」
杏子「したら、さやかの奴も、釣られて入ってきそうだな」

マミ「チームマギカエンジェルズ、再結成ね!」

杏子「その名前だけは、絶対に変えてやる」

マミ「あの子たちのクリスマスは、美樹さんとクラシックコンサートだったわね」

杏子「アタシはガラじゃないから断ったけど、マミはそういうの好きそうじゃん。なぜ行かなかったんだ?」

マミ「ほっとけない子がいるから」

少女「私のこと? ほっときゃいいじゃん。もう、魔法少女じゃなくなったんだよ? 好き勝手に遊びなよ」

マミ「そう、だから、好き勝手にさせてもらっているわ」
マミ「その一つが、あなたのような魔法少女を助けること」

 巴マミは、聖母のようににっこりと微笑む。

マミ「安心して。あなたは決して、一人ぼっちじゃないのよ」

 やめろよ、泣けるだろ。
 耐えきれず、目をそらすと、雪ウサギのようになったキュゥべえが、こっちを見ている。
 あいつの差し金なのは分かった。まったく、余計なことしやがって。

少女「とても美しくて、やさしい世界、ふざけんな」

 あたたかすぎて、ほんとウザイ。




END


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